マッチング事例紹介

越前和紙と越前漆器の技術がコラボ

県工業技術センターと2つの産地が連携して開発した、和紙だけでも十分な強度を持ち、インテリアとしても使える丸い飾り団扇です。

企画・商品名 骨組みなし 丈夫な飾り団扇 「あおぎマス」
企業名 ㈲やなせ和紙
企業名 (有)山内うるし工芸、 (有)澤田木工所、 越前漆器(株)
マッチング内容

「飾り団扇 あおぎマス」

伝統工芸品の新たな製品化を図るため県工業技術センターが中心となり、越前和紙、越前漆器産地が連携して3年がかりで開発しました。
扇部と木地は組み換えが可能で、色柄ともに豊富なバリエーションの中から選ぶことが出来ます。
また、自立させてインテリアとして活用することも出来ます。

 

・それぞれの工夫と苦労

工業試験場より最初にお声掛けをいただいてから、何度も試作をくり返し、やっと形になった商品です。 

(有)やなせ和紙では扇部に、「型押し」「落水」といった伝統の工法を活用して立体感を持たせた和紙を提供しています。
和紙は、原料そのままの色で出荷しております。
紙漉きには水の冷たい冬場が適していると言われていますが、最初に試作した時は夏でした。団扇用にと厚めに漉かれた紙も難なく乾かすことが出来ました。
ところが、冬場に入って生産にとりかかったところ、紙の反りを軽減させようと天日干しをするため、乾きが悪く金型で作った凸凹があっちこっち向きを変えながら乾燥させているうちに平らになってしまいました。
紙にしっかりとした凸凹をつけるには、繊維の長い楮だけでは、紙の盛り上がりを保つのが難しく、また、原料に粘りを加えるネリの量にも工夫が必要でした。

(有)山内うるし工芸では扇部の和紙に、漆と顔料を混ぜた塗料と、セラック(紫膠)で色を付けております。調色がとても大変です。
筆を使って塗るのではなく、スプレーで吹き付け塗装することで塗りムラもなく均一に、また立体感のある色を付けることが出来ます。
紙を硬化させる効果もある塗料ですが、染み込みすぎず薄すぎず、ちょうどよい弾力のある硬さに仕上がっています。

(有)澤田木工所では、持ち手部分の木地を製造。上が薄く、下が厚い形状になっており、カットに技術を要します。
また、2枚組の木地には小さいながらも強力な磁石が埋め込まれており、これで両側から和紙を挟んで固定する仕組みになっておりますので 付け外し、紙の交換が簡単に出来るようになっています。

越前漆器(株)では、持ち手部分の木地にタメとキナリの2種類の塗装をしています。和紙に合わせてお好きな方をお選びください。
なお当社は、販売も担当しております。
先日の 東京ギフトショー2013春 でのお披露目には、お客様に大変好評をいただきました。美術品、工芸品としての評価も高く驚きました。
様々なアイデア・アドバイス等、勉強になることがたくさんありました。
これからも改良を加え より良い商品に育てていきたいと思います。

あおぎマス|aogi masu
 http://www.aogimasu.jp/